離散時間・連続時間マルコフ連鎖は信頼性評価に限らず待ち行列システムなどのシステム性能評価で頻繁に用いられています.特に,信頼性の分野ではシミュレーションでは算出困難な精度でシステム性能指標を算出する必要があるため,モデルを用いた解析が重要になります.一般に,現実の情報システムを確率モデルで表現したとき,システムの振る舞いが複雑になればなるほどモデルの状態数が指数的に増えて行き,計算が困難になります.当研究室ではそのような大規模な状態数を持つマルコフ連鎖の数値的な計算アルゴリズムに関する研究を行っています.具体的には,準定常状態や過渡状態における評価指標を算出するための高速かつスケーラブルなアルゴリズムの構築を行っています.過渡解析においては位相型分布やマルコフ到着過程を利用した近似手法や,並列計算に向いたアルゴリズムの開発を行っています.